もずポンへの長い道のり ー 3

それでまあWidowsでもいっちょ作ってみるかということで完成したのが「もずポンDX」。プレイ内容が再生できたりステージが編集できたりボスキャラが増えたりと大サービス。だってシェアウェアだもん。



DOSゲーム全盛の当時、Windowsというと描画が遅くてゲームのプラットフォームとしては使い物にならないってのが定説だったんだよね。でもそこはマイクロソフト。ことゲームの重要性に関してはよくわかってた。まずWinGというライブラリが登場し、後にDirectXへと進化。こいつは、ビデオカードやサウンドカードの違いを吸収して、それなりに高速な描画を実現するという、Windowsでゲームを作るには必須の機能だったんだ。この辺、Game Sproketとかフザケタものを作ってたAppleよりは、ゲームがなんたるかをマイクロソフトは良くわかっていたよ。さすがいまだにフライトシミュレータを出してるだけのことはある。オタク企業め。

ただし、昨今はOS売りたさにDirectXの新バージョンはVista以降でないと対応しないとか、また悪い病気が出始めた。これでOSの命運は尽きたんじゃないかな。ビデオ回りの仕様を変えたからとか言い訳してたけど、うそつけ。戻してんじゃん。Windows 7で。ホント、スーツ着てるやつらはロクなことをしないよな。


それはさておき。同時にこの頃、ボーランドという会社のTurbo Pascalの後継、Delphiという開発環境が登場したんだよね。こいつがなかなか使いやすい。いや、正しくは、駄目なところが沢山あるけれど、処理は早い。言語の仕様も良い。実際、いまでも使ってるくらいだから、個人的にはよほど気に入ってるんだろうね。ホントはオラクルなんかのデータベース用フロントエンドを作るソフトという地位を狙ってたらしい。

あ、Pascalってのはプログラミング言語の一つなんだけど、日本ではマイナーか。海外では授業で教えてたりしたんじゃなかった?文法が厳格で、堅苦しいけどバグが出にくい特徴がある。私のようにいい加減な人間にはピッタリ。おかげで昔のコードを引っ張り出しても、それなりに読みやすいし。


そうだ。ウィザードリーって知ってる?ロールプレイングゲームの。あれの一番最初のバージョンはApple ][で動いてたんだけど、それはUCSD Pascalで作られたんだよ。DelphiのPascalはObject Pascalだからかなり違うけど。まあどうでも良いか。


で、このDelphiに、DirectXを使うためのライブラリ「DelphiX」を使って作ったのが、もずポンDX。C言語からObject Pascalへの移植になるけど、事実上の書き直し。でも作業はずいぶん楽だった記憶がある。さすがオブジェクト指向言語。手が抜ける。

この「もずポンDX」も好意的に受け入れてもらえたと思う。調子に乗ってTシャツ作って配ったりしてた。幸せなゲームだよな、まったく。

この頃はまだシェアウェアの存在が許されていた時代。今ならズタズタにクラックされて捨てられておしまいですよ。音楽にしてもマンガにしても同じ運命をたどってるね。中には街のパン屋さんみたいな生活を夢見た人もいたんだろうけど、子供達やソフト共産主義者たちはそれを許してくれなかった。とにかく金を稼ぐことが絶対に許せないらしい。おかげで弱い物は次々と駆逐され、結果としてビルゲイツやジョブスのような大金持ちを生むことになるんだけど、まあ話が通じる連中でもないか。

でも今から考えると幸せな時代。まだ色んなパソコンがあったしOSも様々。選ぶことも作ることもできた、まさに黄金時代。あの頃を知らない人は、ちょっと可哀想かも。パソコンの値段は高かったけど。

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